内 容 証 明
1.内容証明とは
正式には内容証明郵便といいますが、一般の手紙とは違って、差出人がどのような内容の手紙を、誰に、いつ発信して、相手がいつ受け取ったかを郵便局長が公に証明してくれるサービスです。
行政書士は、紛争やトラブルの予防、または任意での解決が主たる業務ですので、代理人となって裁判や示談交渉などはできません。ですから、できる限り裁判等に発展しないような書類の作成を行います。
以下のような場合に有効です。
・貸したお金が返ってこない
・夫・妻の不倫相手に慰謝料を請求したい
・売掛金がいつまでも支払われない
・家賃がいつまでも支払われない
・会社を辞めたいけどなかなか会社に言えない
・不当な契約を解除したい
・その他のあらゆるお悩み
2.内容証明の効カ
・証拠を確保する
内容証明自体に法的な効力があるわけではありませんが、差出人が受取人に対してどのような文章を送付したかが証明されるため、裁判になった場合には高い証拠能力を持ちます。
・心理的プレッシャー
受取人にとって、内容証明郵便で通知することにより、「無視できない」「次は裁判を起こされるかもしれない」と思わせることが期待できます。これによって、受取人の行動を促し、解決に向かう可能性があります。
3.内容証明で出す必要がある場合
・期間内に通知が到達することが法律上の要件である場合
例)クーリングオフ、賃貸借契約更新拒絶 等
・確定日付がないと債務者や第三者に対応できない場合
例)債権譲渡通知 等
・意思表示の到達が効力発生の要件となる場合
例)契約の取消、退職届、退会 等
・時効中断しないと請求できなくなる場合
例)事故の損害賠償、遺留分侵害額請求 等
・期限を確定させるため必要な場合
例)期限の定めのない債務支払請求、契約解除予告 等
4.内容証明を出すべきでない(若しくは慎重を要する)場合
・解決する可能性がある(相手側に誠意がある等)場合
・相手側と親しい間柄にある(刺激しないほうがよい等)場合
公 正 証 書
●公正証書とは
公正証書は、公証人が権利義務に関する事実につき作成した証書です。公正証書には、強い証明力があり、一定の要件を備えた公正証書は、執行力を持ちますので将来の紛争予防に大きな効果があります。
公証人とは、裁判官や検察官などを長年勤めた法律の専門家であり、法務大臣に任命された準公務員です。
また、公正証書の原本は公証役場で20年間保管されますので、偽造や紛失の心配もなくなります。→公証制度について―法務省ホームベージにリンク
〇強い証明カ
公証人によって作成された書面は、法律に基づいて公正に作られており、紛争になった場合でも、裁判で否定されたり、無効となることは原則ありません。
〇執行カ
例えば金銭債務において、強制執行認諾条項を定めることによって、裁判所の手続きを一部経ずに強制執行の手続きの申立てができたり、債権保全のためにも有効な手段です。
〇法律に義務付けられているもの
・任意後見契約公正証書
・定期賃貸借契約公正証書 など
〇公正証書を作成したほうが良い場合
・公正証書遺言
法律に従つて適正に作成されるもので、家庭裁判所での検認手続きが不要となります。
・金銭消費貸借契約
お金の貸し借りをする場合、返済期日に支払わないときは強制執行に服す事の条項を入れることにより、速やかに強制執行をすることができます。
・協議離婚
離婚に関しては、財産的給付を伴うことが大半ですので、慰謝料、財産分与、養育費、未成年の場合は親権者、面会交流権、年金分割など確実な履行を得るためには効果的と言えます。
許 認 可 申 請
事業やその他の行為をするためには、法令等により様々な許認可手続きが必要となってきます。自動車を運転するためには運転免許証が必要なのと同じように、必要な手続きを怠つた場合は、無許可として罰則を伴うことがありますので注意が必要です。
○許認可が必要な主な事業
・宅地建物取引業
国土交通大臣又は都道府県知事
・建設業
国土交通大臣又は都道府県知事
・電気工事業
経済産業大臣又は都道府県知事
・食品販売業
都道府県知事又は市長
・飲食業、喫茶店
都道府県知事又は市長
・薬局
都道府県知事
・酒類販売業
税務署長
・液化石油ガス販売業
経済産業大臣又は都道府県知事
・古物営業、中古品販売
公安委員会
・自動車運送事業(一般旅客・一般貨物等)
国土交通大臣
・産業廃棄物処理業
都道府県知事
・美容院、理容店
保健所
・遊技場
公安委員会
など、他にも内容によって、様々な許認可を必要とします。
補助金・助成金申請
補助金とは、経済や地域の活性化等目的とした資金であり、助成金は雇用や労働環境の改善等を目的とした資金です。どちらも基本的には返済不要で、一定の要件に該当する事業者や個人に対し国や地方公共団体等から資金を提供するというものです。
申請しなければ受給することはできませんので、要件に該当するかどうか、期間は何時までなのか等、必要に応じて資料等の収集や書面の作成をする必要があります。
○申請から受給までの流れ
1 申請要件の確認
↓申請要件を満たす必要があります。
2 申請書提出
↓必要な添付資料を添えて申請します。
3 審査
↓
4 補助事業の実施
↓計画に沿った事業の実施するにあたっては領収書等を整理。
5 報告書類の作成・提出
↓報告書類の提出が義務付けられている場合があります。
6 補助金・助成金の交付
一定期間報告が義務付けられている場合があります。
〇主な補助金
・経済産業省
中小企業や小規模事業者の事業の活性化や効率化等
例)ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、創業補助金 など
※ほかにも他省庁、地方公共団体等の補助金があります。
○主な助成金
・厚生労働省
雇用促進や雇用環境整備、人材育成等
例)雇用調整助成金、キャリアアップ助成金、高年齢者雇用開発助成金 など
※ほかにも他省庁、地方公共団体等の助成金があります。
※ただし、厚生労働省の助成金について、その書類作成や申請の代行する場合、社会保険労務士法の業務に当たっては、社会保険労務士以外の者が報酬を得て行うことを禁止しています。
成 年 後 見 制 度
●成年後見制度とは
成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などによって、判断能力が十分でない方の、不動産・預貯金などの財産管理をしたり、介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたり、自分で判断や契約をすることが不十分な方を保護し、支援するための制度です。
成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2つの制度があります。
1 任意後見制度
任意後見とは、将来的に判断力が不十分になる前に、あらかじめ本人が選んだ人(任意後見人)と任意後見契約を結び、ひとりで決めることが心配になった時のために、代わりにしてもらいたいことを決めておく制度です。
任意後見契約は、任意後見人が将来の行う後見事務の内容を、公正証書により締結することが必要です。
将来本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任を申立てすることとなります。この場合、本人以外の者が申立てし任意後見監督人の選任の審判を受けるためには、本人の同意が必要です。ただし、本人が意思表示できないときはこの限りではありません。
○任意後見契約の種類
・将来型
本人の判断能力があるうちに任意後見契約をしておいて、判断能力が不十分になった時に、家庭裁判所の審判を受け、事務処理などをお願いする契約です。
・移行型
任意後見契約と任意代理契約を同時に結んでおいて、判断能力が不十分になる前から、生活支援等の代理の関係性を築いておくことにより、より家庭裁判所への申立ての時期が判断しやすくなります。
・即効型
既に判断能力が低下し始めている場合、家庭裁判所への申立を前提に任意後見契約をするものです。任意後見制度か法定後見制度なのか判断する必要があります。
○メリット
・前もって契約をするので、本人の意思を反映させやすい。
・信頼できる人に後見人になってもらうことができる。
・後見人に対する報酬も事前に決めておくことができる。
○デメリット
・任意後見人には、取消権はない。
・死亡した後の財産整理はできない。→死後事務委任契約が必要。
・開始のタイミング(後見監督人選任の申立の時期)の判断が必要。
2 法定後見制度
法定後見とは、本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所によって選任された成年後見人等が本人を法律的に支援する制度です。
本人の判断能力に応じて後見・補佐・補助の3つの類型により、申立てをする際には医師の診断書を基に、裁判所が後見(補佐・補助)開始の審判及び後見人(補佐人・補助人)の選任をすることとなります。
3つの類型の違いは次のとおりです。
ただし、補佐、補助ともに代理権又は同意権(取消権)について、必要な範囲において、個別に申立てを行うことにより、代理権、同意権(取消権)を得ることができます。
・後 見・・・代理権、取消権
本人(被後見人)の判断能力が欠けているのが通常の状態
日常の買い物を含め常に援助が必要な状況。病気により寝たきりの人や、脳死判定された人、重度の認知症の人、重度の知的障害者など。
・補 佐・・・同意権、取消権
本人(被後見人)の判断能力が著しく不十分な状態
日常の買い物はできるが、不動産や車など大きな財産の購入や、契約締結などが困難な状況。中度の認知症の人や中度の知的障害者など。
・補 助・・権限なし
本人(被後見人)の判断能力が不十分な状態
日常の買い物だけでなく、不動産や車など大きな財産の購入や、契約締結も一人で可能だが、援助があったほうが良いと思われる状況。軽度の認知症の人や軽度の知的障害者など。
○メリット
・被後見人の財産を守ることができる。
・被後見人の不利益になる契約を防ぐことができる。
・被後見人が契約を結んでしまっても、不利益であることが判れば解除できる。
・被後見人の判断能力が不十分でも、必要な契約、手続きを進めることができる。
○デメリット
・後見人の申立に時間とお金がかかる。
・後見人への報酬が発生する。
・積極的な資産運用はできない(相続税対策等)。
・親族が後見人になった場合の負担。
●手続きの流れ
〇申立てに必要な書類と費用
1 家事審判申立書(後見・補佐・補助開始申立書)
2 本人の戸籍謄本(申立人が本人以外の場合は申立人の戸籍謄本も必要)
3 本人の住民票又は戸籍附票
4 登記事項証明書(東京法務局が発行する後見開始の審判を受けていないことの証明)
5 身分証明書(市町村発行の破産宣告を受けていないことの証明)
6 医師の診断書、障害者手帳
7 財産目録及び財産状況に関する資料
8 収支予定表
9 その他必要な書類
申立にかかる費用
・申立て手数料
800円+代理権等付与の審判1件ごとの審判1件につき800円
・登記手数料 2,600円
・連絡用郵便切手 必要額
・医師の診断書 (医療機関によって5,000円~10,000円程度)
※裁判所が鑑定を必要とする場合は50,000円~100,000円