世の中にはあらゆる場面で契約が存在します。口頭でも契約は成立することから、私たちは、生活の中でも無意識に (普段の買い物も)契約行為をしています。契約書として書面にする意味は、もしトラブルになった時の紛争解決に役立つ書面です。
重要と思われる契約について、契約書を作成することにより、契約書どおり履行がなされない場合など有効な証拠書類として主張することができます。
1.契約自由の原則
〇契約を締結するかどうか、内容をどうするかなど自由に決めて良いことになっています。
民法(契約の締結及び内容の自由)
第521条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。
2.契約の類型
契約が有効に成立するためには要件があります。
令和2年4月1日施行の新民法によって、契約行為のほとんどが意思表示の合致により契約が成立することとなりました。
・諾成契約
当事者の申し込みに対し、もう一方が承諾という意思表示の合致で、契約が有効に成立するものです。
例)売買契約など多くの契約がこれに該当します。
・要物契約
意思表示の合致のほかに、目的物の引渡しが契約を有効に成立させるための要件となるものです。
例)書面によらない消費貸借契約
3.主な契約書の種類と要点
・贈与契約書
口頭でも贈与は成立しますが、後々贈与税を心配する必要がある場合は、契約書にしておけば、税務署から指摘を受けた場合に、証拠書類として有効です。
・売買契約書
売買の対象物によって、どのような条項を入れておくべきか、当事者間でトラブルにならないような内容(物件の表示、売買代金、支払時期など)にする必要があります。
・交換契約書
交換の対象物によって、どのような条項を入れておくべきか、当事者間でトラブルにならないような内容(物件の表示、交換比率、交換時期など)にする必要があります。
・消費貸借契約書
一般的には金銭を貸し借りする場合が多いと思いますが、返済時期、利息及び損害金など双方で確認する事項を明確にする必要があります。
・使用貸借契約書
使用貸借とは無償で貸し借りをする契約のことです。一般的には親族間などの縁故関係による場合が多いと思いますが、使用方法、返還時期など後でトラブルにならないようする必要があります。
・賃貸借契約書
賃貸借とは有償で貸し借りをする契約のことです。貸家、アパートが思い浮かびますが不動産業者を介す場合には、法律に則った手続きをしてくれます。個人間で契約する場合にも、同様に賃料、支払時期、返還時の条件など明確にする必要があります。
・雇用契約書
賃金や労働条件を事業主と雇用者双方で確認するものです。社会保険等にも関係してきますので、社会保険労務士にご相談されるとよいでしょう。
・その他
請負契約
業務委託契約
コンサルティング契約
委任契約
和解契約 など
4.契約書を作成する目的
予防法務的観点
法律等に照らし合わせ、トラブルが起きないよう予防し、また起きた場合にも円滑に解決できるよう、契約書を作成する必要があります。
ビジネス的観点
営業者においては、少なくとも自社に不利になるような契約はしないと思います。ビジネスパートナーが納得でき、少しでも自社にとって有利となるような契約書を作成する必要があります。
5.契約書作成にあたっての手順
1 ヒアリング
契約書の内容
契約書作成の目的
契約書締結の相手
契約書締結のフェーズ
2 契約書原案の作成
ヒアリングに基づき作成した原案を説明します。
3 契約書原案の修正
要望事項等契約書に反映できるものについて修正します。
4 契約書の完成
法務的、ビジネス的にも納得いただける契約書を作成します。
6.その他
契約の内容により、収入印紙を貼る必要があります。印紙税の負担については、国税庁ホームページに記載がありますので、そちらをご覧ください。⇨国税庁「印紙税額の一覧表」